こんにちは、品質管理ドットコムです。国立大学で修士号を取得し、現在は東証一部上場企業の品質部門にて活躍しています。私の情熱は「品質」にあり、製品品質の評価と品質管理を専門としています。
今回は「保証、保障、補償」という間違えやすい3つの単語について解説したいと思います。
言葉の定義
まずはそれぞれの単語の定義から確認しましょう!(参考:Weblio辞書)
ほ‐しょう【保証】
読み方:ほしょう
[名](スル)
1 間違いがない、大丈夫であると認め、責任をもつこと。「品質を—する」「彼の人柄については—する」
2 債務者が債務を履行しない場合に、代わって債権者に債務を履行する義務を負うこと。「—責任」
ほ‐しょう〔‐シヤウ〕【保障】
読み方:ほしょう
[名](スル)ある状態がそこなわれることのないように、保護し守ること。「国家の安全を—する」「社会—」
ほ‐しょう〔‐シヤウ〕【補償】
読み方:ほしょう
[名](スル)
1 損失を補って、つぐなうこと。特に、損害賠償として、財産や健康上の損失を金銭でつぐなうこと。「労働災害を—する」「公害—裁判」「—金」
2 心理学で、身体的・精神的な原因によって劣等感をもつとき、それを補おうとする心の働き。アドラーの用語。→防衛機制
「保証」「保障」「補償」の違いって?
言葉の定義だけでは理解が足りないため、ここから詳しく解説していきたいと思います。
「保証」「保障」「補償」、この3つの用語は日常生活でもよく耳にしますが、それぞれの使い分けはどうなっているのでしょうか?それぞれの意味と一般的な使用例を見てみましょう。
保証とは
何かが正しいことを保証し、人や物に対する責任を取る行為。 例:「商品の品質を保証します」、「彼の身元は私が保証します」。また、「保証書」や「保証人」などにもこの言葉が使われます。
保障とは
人の権利や地位を守り、安全を確保すること。 例えば、「社会保障制度」はこの言葉が使われ、国民の安定した生活を守ることを目的としています。他にも「国家の安全を保障する」、「最低生活が保障されている」といった文脈で使用されます。
補償とは
損失や損害が発生した際に、それを金銭的に埋め合わせること。 例:「災害に対する国の補償を要求する」、「交通事故の損害を補償する」といった具合です。
主に年金保険で使われる「保証」
「保証」という言葉は、何かが確実であるとの保証と、それに伴う責任を意味します。
我々の生活に馴染みのあるもので言うと、年金保険の分野で頻繁に登場します。
年金保険(個人年金保険)とは、定められた年齢まで保険料を支払い、その後、一定期間あるいは生涯にわたり給付金を受け取ることができる貯蓄型保険の一種です。公的年金である国民年金や厚生年金とは異なり、個人が自ら保険会社と契約を結ぶタイプで、退職後の資金として用いられることが多いです。 年金保険にはいくつかの種類があります。
- 終身年金:被保険者が生存している限り、一生涯にわたり年金を受け取れます。
- 有期年金:被保険者が生存中、契約時に定められた特定の期間、年金を受け取れます。
- 確定年金:被保険者が生存中はもちろん、万一年金受取期間中に亡くなった場合も、契約時に定められた期間、年金を受け取れます。
また、終身年金や有期年金には「保証期間」を設定した商品も存在します。例えば、「10年保証期間付終身年金」では、被保険者が亡くなった場合でも、保証期間中であれば10年間の年金支払いを保証します。 このように、「保証」は将来の支払いを約束し、その責任を負うことを指す言葉として使われています。
主に生命保険で使われる「保障」
「保障」という言葉は、権利や安定した状態を守り、不安定要素からの保護を意味します。
特に、生命保険の文脈で頻繁に使われます。 生命保険は、生命に関連するリスクをカバーするものです。これには、被保険者の死亡時に支払われる死亡保険、病気や怪我の際の医療保険、要介護状態になった時の介護保険などが含まれることがあります。 生命保険に加入していると、予期しない事態に遭遇した際に支払われる金銭的なサポートによって、家族の生活を守ることができます。
このように、「保障」は突発的な事態への備えとして、自分や家族の生活を経済的な危険から守るために使われる言葉です。
主に損害保険で使われる「補償」
「補償」という用語は、損害が起こった際にその損失を填補し、対応することを指します。この言葉は、損害保険の分野で頻繁に使われます。
損害保険は、予期せぬ出来事から生じる損害に対処するための保険です。個人向けの保険には、例えば自動車保険、火災保険、地震保険、傷害保険などがあります。法人向けでは、企業の財産や賠償責任保険、船舶や貨物、運送関連の保険などがあります。
生命保険があらかじめ決められた保険金を提供するのに対し、損害保険では発生した損害の額に基づき補償金額が決まる「実損払い方式」が主流です。こうして、「補償」は生じた損失をカバーするために用いられる言葉となっています。
「保証」「保障」「補償」と併せて知っておきたい用語
保険の際に出会う「保証」、「保障」、そして「補償」以外にも、よく使われる関連用語があります。これらを理解することが重要です。以下に、それぞれの意味を説明します。
賠償
これは、他者に損害を与えた際に、その損害を償う行為を指します。「損害賠償」という用語は、他人に損害を与えた場合、その被害者に対して損害を補填することを意味します。例えば、自動車保険や火災保険でよく見られる「個人賠償責任補償特約」は、自らのミスによって他人に損害を与えた際の補償を目的としています。これには、他人を傷つけたり、物を壊したりした際の費用を補償するものが含まれます。
弁償
これは、他者に与えた損害に対して金銭や物品で償うことを指します。賠償と似ていますが、賠償は比較的大きな規模の損害や法的義務に関連して使われるのに対し、弁償はより小規模な個人間の事柄で使われることが多いです。
担保
これは、将来起こりうる不利益に備えて、事前に何かを補填として用意しておく行為を指します。「抵当」とも言われ、「土地を担保に借金をする」などの表現で使われます。保険の分野では、特に損害保険において「補償される」という意味合いを持ちます。逆に「不担保」は、補償されない、つまり保険金が支払われない状態を意味します。
免責
これは、責任を負わない、つまり責任から免れることを意味します。保険分野で使用される場合、保険金を支払う責任がない状況を指します。保険契約の約款に記載される「免責事項」は、保険金が支払われない特定の条件を指します。損害保険に加入していても、事故が起きた際、その事故が保険の免責事項(例えば故意による損害など)に該当する場合、保険金は支払われないのです。
まとめ
今回は「保証、保障、補償」という間違いやすい単語について解説しました。「保証、保障、補償」についての基本的な情報から、その重要性、具体的な活用方法までを網羅しました。これにより、「保証、保障、補償」に対する理解が深まり、実際の業務や日常生活において役立てていただけると幸いです。
さらに詳しい情報やご質問がありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。今後も皆様のお役に立てるよう、有益な情報を提供してまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。