こんにちは、品質管理ドットコムの山本です。国立大学で修士号を取得し、現在は東証一部上場企業の品質部門にて活躍しています。私の情熱は「品質」にあり、製品品質の評価と品質管理を専門としています。
今回は「品質管理における外観検査とは」と題して記事を書かせていただきます。
前書き
本記事では、外観検査の基本的な考え方と、チェックすべき項目について紹介します。ものづくりにおいて外観検査は重要ですが、その意義や目的を理解せずに行うと、期待した結果が得られないばかりか、費用や手間がかさんでしまうこともあります。外観検査の基本をしっかり押さえましょう。
外観検査の概要
外観検査は、部品や製品の品質を保証するための検査方法です。主に表面に付着した異物や汚れ、傷、欠け、変形などの欠陥を目視で確認し、良否判定を行います。異物や傷などのチェックは食品パッケージや布、金属や樹脂部品、LEDなど幅広い製品で行われます。外観検査は人間の目によって行われる「目視検査」であり、品質を判断する代表的な方法です。
外観検査の一例
- パッケージに付着した異物検査
- 生地に付着した汚れ検査
- 金属や樹脂部品についた傷検査
- 樹脂やゴムの成形時に発生する欠け、バリの欠陥検査
- LEDの点灯抜けなどを確認する欠陥検査
- 塗装面の色・艶を確認する変色検査
外観検査では、人間の目で変色や傷、異物などを確認し、基準となる見本と比べて品質を判断します。しかし、目視では基準が曖昧になりやすく、検査員の経験や体調によって間違いが生じやすいです。また、人間が中心だとコストや手間もかかります。さらに精度を上げるには、目視に加えて拡大鏡や顕微鏡を使った検査も必要です。最近では、人の目に代わって画像処理システムを使って外観検査をする企業が増えています。
基本的な外観検査項目
外観の検査項目は、部品や製品によって大きく異なります。そのため、製品や部品の仕様書をもとに個別に規定されます。ここでは一般的にどのような検査項目があるのかを紹介します。
1. 仕様、形状、構造に関するチェック
製品の仕様や形状、構造に関する問題をチェックする項目です。製品の規格や仕様書に定められた形状や寸法、色、デザイン、印刷などが正しいかどうかを外見で確認します。変形や欠損、位置のズレ、サイズの間違い、色の変化などがこれに該当します。例えば、次のような問題がこの分類に入ります。
- 仕様書と実際の形状が異なる、あるいは一部が欠けている
- 部品の組み合わせに問題があり、ネジの位置がずれている
- 指定された寸法の範囲を超えている
- 塗装の色が異なる、色にムラがある、変色している、光沢が違う
- 印刷や印字に不備がある、または打痕がついている
2. 表面状態に関するチェック
部品や製品の表面の状態に関する問題を調べる項目です。傷や汚れ、シワや凹凸、触り心地などがチェックされます。これらの問題はさまざまな原因で起こり、程度も異なるため、判断が難しいことがありますが、品質にとって非常に重要です。例えば、次のような問題がこの分類に入ります。
- 表面の凹凸が均一でない
- 樹脂成形時にシワや凹みができている
- 触った感じが表面ごとに異なる
- ひっかき傷や擦り傷が見られる
- 汚れやホコリが表面に付着している
3. 仕上がりに関するチェック
分類3は、製品の仕上がりに関する問題を扱います。ここでは、バリや欠けなどの粗さや丁寧さに関する問題が評価されます。外観検査は、製品の品質向上だけでなく、良品と不良品の判別や不良品の流出を防ぐためにも重要な段階です。
- 成形の際にできたバリが残っている
- 加工時に治具の跡などが残っている
まとめ
今回は「品質管理における外観検査」について紹介させていただきました。
「もっと詳しい情報が知りたい」や、「こんな情報教えて欲しい」ということがありましたら、お気軽にご連絡ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。興味があれば、他の記事もご覧ください。