こんにちは、品質管理ドットコムの山本です。国立大学で修士号を取得し、現在は東証一部上場企業の品質部門にて活躍しています。私の情熱は「品質」にあり、製品品質の評価と品質管理を専門としています。
今回は「製品検査とは?」と題して記事を書かせていただきます。
前書き
製品検査は、良い品質の製品を安定的にお客さんに提供し、自社の信頼を守るためにとても重要なプロセスです。企業の中には、「どうしたら製品検査を効率的に進めることができるか」を考えているところも多いでしょう。
今回は、製品検査の利点や留意点、自動化のヒントなどについて説明します。自社の生産工程に合った適切な製品検査の導入方法がわかるはずです。
製造業における検査とは
製造業では、製品を出荷する前に検査を行うことが重要です。なぜなら、不良品が出荷されると、顧客や取引先からの信頼を失うことにつながります。そのため、製品検査は避けて通れない業務です。
製品は、品質をチェックするためにいくつかの検査工程を経ます。これらの工程をクリアしないと、製品は完成とはみなされません。材料を加工したり、部品を組み立てたりしても、製品検査をパスしなければ、完成品とはみなされません。
製品検査では、形状や構造、寸法、色など、さまざまな基準が設定されます。製品や部品の特性に応じて、傷や汚れ、凹凸などの異常を見つけ、合格基準と照らし合わせて、製品が適合しているかどうかを判断します。
品質保証との違い
製品検査と品質保証は似ていますが、まったく同じではありません。製品検査は主に不良品を見つけることに焦点を当てています。製品検査だけで品質が保証されるわけではありません。品質保証は、不良品の発生を防ぐために、設計や製造の段階で問題を解決し、品質を向上させる取り組みを指します。
例えば、特定の部位でよく同じような擦れが見られる場合、製造工程に問題があるかもしれません。また、プラスチック製品で特定のウェルドラインが現れる場合、製品設計に問題があるかもしれません。
製品検査で見つかった問題を上流工程に伝えて、原因を調査し、解決策を見つけることで、品質が保証されます。品質を高め、顧客満足度を向上させるためには、製品検査と品質保証の関係を理解し、改善に取り組むことが重要です。
製品検査を実施するメリット
製品検査のメリットは主に以下の3点になります。
- 品質の維持•改善
- 不良品の削減
- 信頼関係の構築
それぞれについて詳しく観ていきましょう。
品質の維持・改善
製品検査により、安定した品質を保つことができます。不良が発生した場合、原因を特定しやすくなります。問題の部分や不良の内容を分析し、改善策を講じることができます。品質が改善されれば、競争力を高めることができるかもしれません。
不良品の削減
製品検査を行い、製造段階で不良を見つけることで、不良品を出荷することを防ぐことができます。不良品が出荷されると、回収や廃棄、再生産などの対応が必要になります。これにはコストがかかり、業務効率が低下します。製品検査をしっかり行うことで、余計なコストを削減し、業務効率を向上させることができます。
信用関係の構築
製造業では、顧客が求める品質の製品を納期通りに納品することが求められます。不良品を出荷すると、次の工程で問題が起こる可能性があります。また、エンドユーザーに不良品が届くと、メーカーや販売業者の信用を損なうことになります。製品検査で不良品の出荷を防ぐことで、信用関係を構築することができます。
製品検査のデメリット
製品検査にもデメリットがあります。そちらについても触れておこうと思います。
- コストの増加
- 時間の増加
- ヒューマンエラー
管理コストの増大
製品検査を行うためには、検査をする人や必要な機器の費用がかかります。また、機器を使う場合は定期的なメンテナンスも必要です。製品検査を導入することで、これらの管理コストが増えることを理解しておく必要があります。
製造時間の増大
製品検査を増やすと、各検査の時間がかかるため、製造時間が長くなります。その結果、検査作業員が製造作業に十分に集中できなくなることがあります。人手が不足している場合、1人が製造作業と検査を同時に行うこともあります。その結果、製造時間が増え、業務効率が低下する可能性があります。
ヒューマンエラーの発生
製品検査では、人の判断が必要な場合があります。しかし、人によって判断が異なることや、疲労や体調によって判断がブレることがあります。また、作業中に不良品を見落とすこともあります。これらの理由から、ヒューマンエラーの発生を防ぐためにも注意が必要です。
まとめ
今回は検査の基本と、メリットとデメリットについて解説しました。現代の製造業において検査は必須項目ですので、改めてなぜやるのか、どういったデメリットがあるかを考えながら業務に取り組んでください。
また、今回は触れませんでしたが、近年の製造業では「検査の自動化」が盛んに行われています。初期投資にコストはかかりますが、今回解説したデメリットをなくすことができます。ただし、潤沢な資金と、それを回収できるだけの「売り上げ個数」が必要になりますので、単に自動化と考えるだけでなく、自社に合っているかを検討してから導入することをオススメします。
「もっと詳しい情報が知りたい」や、「こんな情報教えて欲しい」ということがありましたら、お気軽にご連絡ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。興味があれば、他の記事もご覧ください。