規程、規定、規則の違いは?また、使い分け方は?

品質管理

こんにちは、品質管理ドットコムです。国立大学で修士号を取得し、現在は東証一部上場企業の品質部門にて活躍しています。

今回は間違えやすい単語「規則と規定、規程」について解説したいと思います。

今回は、これら言葉の違いについて、具体的な例を示して説明したいと思います。就業規則と退職金規程など、聞き馴染みのある言葉で考えると理解しやすいかと思います。

言葉の定義

まずは各単語の定義から確認しましょう。(参考:Weblio辞書)
ただし、言葉の定義のみを見ていてもよくわからないかと思いますので、読み飛ばしていただいて問題ありません。

き‐てい【規程】

読み方:きてい

 決まり。さだめ。規定

 一定の目的のために定められ一連の条項の称。特に、官公庁などで、内部組織事務取扱定めたもの。「服務—」「図書貸し出し—」

規定

読み方:きてい

規定(きてい)とは、ある事柄について定めたルール法則を指す言葉である。規定は、社会生活円滑に進めるために必要なもので、法律制度規則規約などの形で存在する。規定は、行動基準示し公平性公正性を保つ役割を果たす。 規定は、具体的な行動判断の基準を示すため、様々な場面で用いられる例えば、スポーツルール学校校則会社就業規則交通ルールなどがある。これらの規定は、参加者関係者公平に活動できるようにするためのものである。 また、規定は、法律条例として国や地方自治体によって制定されることもある。これらの規定は、社会秩序を保つために存在し違反する罰則科せられることもある。

き‐そく【規則】

読み方:きそく

 行為事務手続きなどが、それに基づいて行われるように定めた事柄決まり。「—を守る」「—ずくめ」「就業—」

 物事秩序。「—正しい」

最高裁判所国会両議院会計検査院人事院などが、憲法法律に基づき内部規律事務処理などに関して制定する法。

都道府県知事市町村長が、その権限属す事務に関して制定する細則。→条例

概要

言葉の定義だけでは理解できないと思いますので、ここから解説を始めていきたいと思います。

規定は、規程と規則に分類される用語であり、これらは事務処理の内容や手順を示す個々の条文を指します。このため、規程•規則とは意味や使用方法において大きな違いがあります。

一方で、規程と規則は分類上似ている要素を持っています。規程は特定の目的を達成するために設定された規定の集合体です。対して、規則は特定の行動や手続きが規則に従って行われるように定められたルールを意味します。

先に述べたように、規定は規程と規則に包含される概念ですが、法的な基準や大きな差異は一般的には認められていません。したがって、規程と規則という表現が使われるかは、その語源に由来する問題であると言えるでしょう。

規則と規定の違い

規則と規程の違いについて多くの方が疑問を感じるようですが、実は、この2つは全く異なるため、実例を交えて解説していきます。

規則とは?

まず基礎となる「規則」と「規程」の区別を明確にしましょう。大辞林の定義によれば、規則とは次のように説明されています。一般的にはその第1の意味合いが一般的ですが、企業の文脈では特に第2の側面に注目することが重要です。

  1. 行為や手続きなどを行う際の標準となるように定められた事柄。きまり。
  2. 国会以外の諸機関によって制定される法の一種。法律・命令などとならぶ実定法の形式の一つ。衆議院規則・参議院規則・最高裁判所規則・会計検査院規則・人事院規則などのほか,地方公共団体の長の定める規則などがある。規則は法律に違反することができない

会社が作成する代表的な規則として挙げられるのが就業規則です。これは、法定の手続きに従って作成された場合、法的な効力を持つ規範として認められます。つまり、国の定める法律に反しない範囲内で、民間企業が自らの法(規則)を設けることが可能になるのです。

規程とは?

同じく規程についても大辞林での定義を見てみましょう。

特定の目的のために定められた一連の条項の全体をひとまとまりとして呼ぶ語。国会の両院協議会に関する規程など。

簡単に説明すると、規程は特定の目的のために集められた文章の集合体です。規則が存在し、その中の特定の部分に対してさらに詳細を説明する目的で作られるのが規程というわけです。

具体的な例で違いを見てみよう

例として、労働安全衛生に関する法令の構成は次の通りです。最上位に法律としての労働安全衛生法があり、これに続くのが政令である施行令、そして省令である労働安全衛生規則が存在します。この中には、たくさんの告示や通達が含まれています。この構成は、規則と規程の関連性を良く示しています。たとえば、「安全衛生特別教育規程」というものがあり、これは労働安全衛生規則の第39条という特定の「規則」に関して定められたものです。これにより、再度強調しますが、規程は規則の特定の部分に対する詳細な説明を目的として策定されるものであることが分かります。

就業規則と規程の関係

次に、人事労務に関する実務的な話に入っていきます。

会社内で時々「人事規程」という用語が使われますが、この言葉には正確な定義が存在しません。これは、「労働法」という用語が一般的に用いられる状況に似ています。具体的な「労働法」という名の法律は存在せず、実際には労働基準法や労働契約法といった個別の法律があり、これらが総称として「労働法」と呼ばれているのです。人事規程も同様で、人事や労務管理に関するさまざまな文書がありますが、その中でも特に重要なのが労働基準法第89条によって定義される「就業規則」です。就業規則は、総合的に作成されるものであるため、これが「規則」とされています。

賃金規定なども就業規則の一部

就業規則の詳細な部分を説明するために、「賃金規程」や「退職金規程」といった人事規程が策定されることがあります。概要をまとめると以下の通りです:

  1. 就業規則:法的に義務付けられている。
  2. 人事規程:一般的な名称で、様々な規程の総称。
  3. 賃金規程などの各規程:実質上、就業規則の一部を形成。

以前にも述べた通り、就業規則の具体的な内容を明確にするために「賃金規程」や「退職金規程」といった規程が作られます。これらの関係性は以下のように理解できます:

  • 各種規程(賃金規程など)は、実質的に就業規則の一部。
  • これらの規程が就業規則から分離されているのは、規則全体のボリュームを適切に保つため。
  • 賃金規程は通常、その内容が広範囲にわたるため別途準備されがちですが、これは実質的に就業規則の一環。
  • 重要な点として、就業規則が労働基準監督署への届け出を要するのと同様に、賃金規程も届出が必要です。

まとめ

今回は規則と規程、規定の違いについて解説しました。ネットを見ていると「あまり差はない」「ニュアンスの違い」というようにフワッとした内容で誤魔化している記事もよく見かけます。
ぜひ皆さんはきちんと違いを理解した上で使用するようにしてください。

さらに詳しい情報やご質問がありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。今後も皆様のお役に立てるよう、有益な情報を提供してまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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