こんにちは、品質管理ドットコムです。国立大学で修士号を取得し、現在は東証一部上場企業の品質部門にて活躍しています。私の情熱は「品質」にあり、製品品質の評価と品質管理を専門としています。
今回は品質管理(QC)と品質保証(QA)の違いについて解説したいと思います。
「品質保証」と「品質管理」は、どちらも高品質な製品を生産・提供する上で不可欠ですが、それぞれ異なる役割を担っています。これらの分野を適切に理解し、協力しながら進めることで、作業環境の改善や製品の品質アップに繋がります。本ページでは、初心者にも理解しやすい基本情報や、品質保証と品質管理の視点を組み合わせた品質向上のためのアドバイスを提供します。
品質管理と品質保証の違いとは
初めに、品質保証と品質管理の各々について定義を明確にしましょう。
会社によってはこれらの概念や取り組みに若干の違いが見られるかもしれませんが、通常は以下のように説明されることが多いです。
ちなみにWeblio国語辞典ではそれぞれ以下のように定義されています。
品質管理
品質保証
品質管理(Quality Control)とは
品質管理とは、製造過程での不良品を防ぐために取り組む方法や手段に関する活動を指します。具体的には、「QC7つ道具」のような技術を使い、製品の不良が発生する原因を分析したり、工程を見直したりして、製造プロセスの管理と改良に努めます。
品質管理部として生産部や生産管理部と近いポジションに置く会社もあれば、品質保証部と一緒になっている会社もあります。
品質保証(Quality Assurance)とは
品質保証は、自社製品が一定の品質基準を満たしているかをチェックし、製品が顧客の手に渡った後も彼らの安心感や満足度を確保するための組織的な取り組みを指します。具体的な業務としては、品質保証のためのデータ検証や調査、クレームへの対応があり、各部署へのフィードバックを通じて顧客が高い品質に満足できるよう努力します。
大きく、社内の製品品質と社外の品質問題、この2つに分けられる品質保証ですが、一緒の部署にまとめられている会社もあれば、製品保証部/品質保証部と分かれている会社もあります。
両者の違いとは
品質保証と品質管理の主な違いは、品質保証が完成した製品に焦点を当てた「買い手の視点」の活動であり、対して品質管理は製造される製品に注目した「作り手の視点」の活動であるという点です。
社内の品質が「品質管理」、社外の品質が「品質保証」と考えていただけれれば大きな間違いはありません。
さらに、品質保証は企業の多くの部門にまたがる広範な取り組みであり、購入、設計、製造、出荷、販売、顧客サービスなどの各プロセスが期待される品質基準を満たしていなければ、その保証は成立しません。一方で品質管理は、製造工程における取り組みであり、品質保証の枠組みの一部として機能します。
品質管理と品質保証はセットで考えるべき
品質保証は、製品が顧客に納品された後の活動を中心に行います。これは単にクレーム対応に留まらず、顧客のフィードバックを通して製品の問題点や市場ニーズを把握し、それを社内の各部門に伝えることで全体の品質向上を目指します。一方で、品質管理は製品完成までの工程に関与し、製造現場の改善により不良品の発生を防ぎ、品質を保つことに重点を置きます。
品質保証と品質管理は異なる業務であるものの、共通の目的は自社製品の品質向上と、企業として顧客や社会に対する責任の遂行にあります。両者は相互作用を持ち、連携することで製品の品質を一層向上させることができます。品質保証や品質管理の専門部署がない、または専任者がいない企業でも、「買い手」と「作り手」の両方の視点から品質について考慮することが重要です。
QCとQA、2つの視点を大事にしよう
品質保証と品質管理を統合的に考え、運用することで、品質の向上に大きな効果が見込めます。例えば、顧客のフィードバックを活用して在庫の最適化や新製品開発に役立てたり、製造プロセスへのフィードバックによる改善を図るなど、一体的なアプローチが理想です。
市場のクレームを対応して終わらせるだけでなく、新製品や製造工程へフィードバックすることで、今後発生するクレームを事前に防ぐことができます。
製品品質においては、標準を満たすだけでなく、顧客の期待に応えることも重要です。優れた品質(Quality)、納得できる価格(Cost)、適切な納期(Delivery)の実現、つまりQCDへの注目が必要です。品質保証の「買い手」視点と品質管理の「作り手」視点を融合させることで、QCDを含めた品質のさらなる向上を目指せます。
まとめ
今回は「品質管理(QC)」と「品質保証(QA)」について解説しました。QCとQAについての基本的な情報から、その重要性、具体的な活用方法までを網羅しました。これにより、QC/QAに対する理解が深まり、実際の業務や日常生活において役立てていただけると幸いです。
さらに詳しい情報やご質問がありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。今後も皆様のお役に立てるよう、有益な情報を提供してまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。