こんにちは、品質管理ドットコムです。国立大学で修士号を取得し、現在は東証一部上場企業の品質部門にて活躍しています。私の情熱は「品質」にあり、製品品質の評価と品質管理を専門としています。
今回は「品質保証」について解説したいと思います。
製造業などで見られる職種の一つが「品質保証」という職種です。この言葉から、「製品の品質を保証する」という役割を連想できますが、その実際の仕事内容や「品質管理」とは何が異なるのか、不明瞭な点も多いかもしれません。
本記事では、「品質保証」に関する仕事の詳細、給与、品質管理との違い、適性を有する方々について徹底的に説明しています。品質保証に関心を持つ方や転職を検討している方は、この記事を通じてその理解を深めていただければと思います。
品質保証とは何か?
ここでは、品質保証の職務内容、給料事情、そして品質管理との差異について説明します。
その前に「品質保証」の言葉の定義をWeblio辞書で確認すると以下のように記されていいます。
(参考:Weblio辞書)
QA Quality Assurance/品質保証
SVとは別にTSR/eレップの業務をモニタリングすることで、品質の測定と向上の為の施策を行う業務、またはその担当者のこと。
言葉の定義のみを見てもあまり理解できないと思いますので、解説していきたいと思います。
品質保証の業務内容
品質保証は、会社が製造する製品が定められた品質基準を満たしているかを検証する職種です。製品の販売後の品質保証や、不良品によるクレーム対応もこの品質保証部の業務範囲内です。
品質保証の役割は、製品の品質維持にとどまらず、顧客のフィードバックを品質改善に反映させることも含まれます。これにより、商品企画から設計、製造、出荷、そして販売までの各工程に関与します。
会社的な言い方をするなら、「上流工程から下流工程まで全てを網羅する業種」となります。
上記のように品質保証の業務は研究段階から製造段階、商品販売後まで多岐にわたり、企業によって求められる人材も異なります。
品質保証の給与
正社員の品質保証職の平均年収は約491万円で、相対的に高い水準です。パート、アルバイト、派遣社員の場合、雇用形態に応じて時給は異なり、平均では約1,000〜1,500円程度です。(2023年度調べ)
地域によっても時給は変わり、関東地方が最も高く、特に東京などの首都圏とその他地域では時給に差があります。
品質保証が他職種と比べて特別給料が高いということはないですが、仕事の性質上ベテランの社員が担当している会社が多く、その影響で年収が高く見える場合もあります。
品質管理との違い
品質管理は、主に工場で製品製造中に不良品を出さないよう事前に品質を管理する職務です。過去には製品の最終検査が主な仕事でしたが、現在はQC七つ道具などの技法を用いて工程の見直しや改善も行います。
一方、品質保証は製品開発段階から品質基準を設け、製造から出荷後に至るまで製品品質を一貫して保証する仕事です。品質管理は品質保証の一部と捉えられ、品質保証は製品が製造される前から顧客に届く後までの品質を保証する役割を担います。
品質保証業務における重要な思考法
この部分では、品質保証業務において製造から出荷後に至るまで品質を一貫して保証するために必要とされる考え方について説明します。
PDCAサイクルを適用する
PDCAは、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)を意味し、業務の効率化に役立つ方法です。このサイクルは、評価や改善を行い、再び計画を立てることで成り立ちます。
品質保証におけるPDCAは次の通りです。 ・Plan(計画):目標とする品質レベルの計画 ・Do(実行):計画に沿った実行 ・Check(評価):目標達成の評価 ・Action(改善):改善が必要な場合は原因を調査し、次の計画に反映
このプロセスを迅速に反復することが重要です。また、各ステップが適切に行われているかの確認も必要です。
事実に基づくデータの利用
品質保証業務では、不良品発生率や顧客クレームなどの様々なデータが集まります。品質保証におけるファクトコントロールとして、これらの実際に基づくデータの利用が重要です。
ファクトは、誰が測定しても変わらない客観的なデータを指します。品質維持や改善には、感覚や勘ではなく、一貫性と確実性のあるファクトの利用が、適切で効果的な品質保証に繋がります。
品質を最優先に
製品製造において重要な要素は、品質(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery)のQCDです。企業はこれらのバランスを考慮することが重要ですが、品質保証は品質(Q)を最優先に考える必要があります。品質は製品の品質だけでなく、作業の質も含みます。
コストや納期に優先して品質が犠牲にならないように、品質を最優先しつつ、コストや納期とのバランスをどうとるかが重要です。
ですがこの『Qを最優先にする』ということができていない企業が多くあります。上からのプレッシャーや納期に押されて、品質が確保できないままに出荷。その後問題となってリコール、なんてことがよく起こります。
品質保証業務への適性
このセクションでは、品質保証業務に関心を持つ方々へ、どのような特質を持つ人がこの職種に適しているかを説明します。職探しの際に役立ててください。
細かな作業が得意
品質保証の職務では、不良品の原因究明や再発防止策の実施などが求められます。品質の高い製品を継続して提供するためには、定期的な検査やデータの収集が不可欠であり、詳細なデータ分析が業務改善につながります。
従って、地道なデータ収集や分析作業を厭わない、あるいはそういった忍耐強い作業や緻密な分析が得意な人に、品質保証の仕事は合っていると言えます。
論理的思考を好む
品質保証では、生産工程の問題に対して論理的に取り組む能力が求められます。周囲の影響を受けずに、常に冷静かつ倫理的な思考ができる人が適しています。
論理的なアプローチは、事実に基づくデータを業務に応用するファクトコントロールにも重要です。パズルや謎解きのような論理的なタスクを冷静に解決できる思考力を持つ人は、品質保証業務でもその能力を生かせるでしょう。
多角的な視点を持つ
品質保証業務では、製品が出荷される前のチェックだけでなく、顧客に届けられた後も品質を保証する役割があります。単にチェックをするだけでなく、多角的な視点で問題を捉える必要があります。
クライアントからのクレームに対しても、外部の視点での見直しを通じて、品質向上につなげることができます。
コミュニケーション能力は必須
品質保証では、品質を最優先にしながら業務を進める必要があります。低コストや短納期を求めるクライアントや他部署との折衝もしばしばあり、交渉力が求められます。
また、お客様からのクレームを受けて、それを次の製品改善に活かすことも重要です。したがって、顧客を納得させる交渉力を持つ人も品質保証に適しています。
専門知識を持つ
品質保証業務では、取り扱う製品に関する専門知識が不可欠です。製品の正しい使用方法や特徴を顧客に適切に説明する能力が求められるためです。
必要な専門知識は、自社の製品に関連するものです。例えば、自動車メーカーの品質保証部門であれば、自動車に関する専門的な知識が必要です。
まとめ
品質保証は、製品の計画段階から始まり、開発、製造、出荷を経て、出荷後の品質維持までをカバーします。場合によっては、改善の提案も必要です。品質管理を含む広範囲の業務を担当するため、交渉力や専門知識などの多岐にわたるスキルがあれば、品質保証の分野で役立てることが可能です。
今回は「品質保証」について解説しました。いかがでしたでしょうか?「品質保証」についての基本的な情報から、その重要性、具体的な活用方法までを網羅しました。これにより、〇〇に対する理解が深まり、実際の業務や日常生活において役立てていただけると幸いです。
さらに詳しい情報やご質問がありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。今後も皆様のお役に立てるよう、有益な情報を提供してまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。